診療内容
鼻中隔弯曲症
鼻中隔弯曲症とは
鼻中隔(びちゅうかく)とは、左右の鼻の穴を分けている“つい立て”のことをいいます。その鼻中隔が左右どちらかに曲がっていることを鼻中隔弯曲症といいます。
日本人の80~90%は、鼻中隔がどちらかに弯曲しているといわれていますが、症状がなく、日常生活に影響がなければ、鼻中隔が多少曲がっていても特に問題はありません。
鼻中隔弯曲症の症状
鼻中隔が大きく弯曲していると、鼻腔の通気が悪くなったり、鼻の粘膜に炎症が起こりやすい状態が続きます。
以下のような症状にお悩みの場合は、耳鼻咽喉科を受診しましょう。
●鼻づまり
鼻中隔弯曲症の典型的な症状が、鼻づまりです。
鼻づまりのため、口呼吸するようになったり、いびきが続くこともあります。
●鼻血
鼻中隔の弯曲によって鼻の粘膜が薄く引き延ばされている部分は、血管が傷付きやすい状態です。
そのため、鼻中隔弯曲症では鼻血も出やすくなります。
●アレルギー性鼻炎の悪化
鼻中隔が弯曲し、狭くなっている鼻腔が、アレルギー性鼻炎による粘膜の腫れでさらに狭くなってしまうため、鼻水、鼻づまり、くしゃみといった症状が悪化しやすくなります。
●慢性副鼻腔炎
鼻腔が狭く、鼻づまりの状態が続くと、鼻腔の通気性が失われて細菌が繁殖しやすい環境になります。
その結果、粘膜が炎症を起こしやすくなり、炎症を繰り返すことで慢性副鼻腔炎の原因につながります。
●嗅覚障害
鼻づまりなどによって、においが感じにくくなることがあります。
においが感じられないと、味も感じにくくなるため、嗅覚障害と味覚障害は併発することがあります。
鼻中隔弯曲症の治療
鼻中隔弯曲症は、鼻中隔の「骨と軟骨の構造」に問題があって症状を引き起こしているため、根本的な治療方法は手術となります。症状が重い場合は、手術による治療をおすすめいたします。
手術を希望しない場合や症状が軽い場合は、薬物療法による対象療法を行いながら経過観察いたします。
鼻中隔弯曲症の日帰り手術「鼻中隔矯正術・粘膜下下甲介骨切除術」
当院では日帰りで鼻中隔弯曲症の手術を行っています。
手術前の診察・検査、手術の説明、手術後の診察・処置はすべて院長が担当しますのでご安心ください。
手術の対象となる方
18歳以上の鼻中隔弯曲症の患者さん
鼻づまりがひどい方や、鼻中隔が曲がっていることにより副鼻腔炎が治らなかったり、鼻づまりがあるために睡眠時無呼吸がある方など、鼻中隔弯曲症の患者さんが対象となります。
また、鼻中隔は思春期が終わる頃まで成長を続けるため、思春期以前に手術を受けると、この発育が不十分となって鼻の変形をおこす心配があるため、手術は17~18歳以降におすすめしています。
治療方法
手術前
手術後
手術は、鼻の穴から器具を出し入れしながら行うので、顔や鼻に傷が残ることはありません。
●鼻中隔矯正術
鼻中隔弯曲症を治療するための基本となる手術です。
鼻中隔の湾曲した部分から骨を切除することで鼻中隔をまっすぐにし、鼻の通りをスムーズにします。
●粘膜下下甲介骨(ねんまくかかびこうかいこつ)切除術
多くの症例で、鼻中隔症矯正手術と同時に行うことがある手術です。
鼻の内部にある下鼻甲介と呼ばれる部分が肥大し、鼻づまりを助長している場合、その骨を切除することで鼻の通りをスムーズにします。アレルギー性鼻炎の症状軽減にもつながります。
痛み・麻酔について
●手術前・手術中
鼻の中に局所麻酔の注射を行いますので、その際にチクッとした痛みがあります。
局所麻酔なので、押される感覚などはありますが、苦痛に感じるほどの痛みはありません。
●手術後
局所麻酔が切れると軽度の痛みを感じることがあります。
処方した鎮静剤の服用で気にならない程度に抑えられます。安静に過ごしましょう。
手術時間(手術当日)
●完全予約制です。
●手術は、30~60分程度で終了します。
術後の通院・経過について
●手術後3日間は、ガーゼの抜去や術後の診察のためご来院いただきます。その後1か月間は週1回程度の通院です。
●手術後1週間位は、手術に伴う炎症・傷のかさぶた、止血材料などで鼻がつまりますが、2週間位経過した頃から少しずつ快適な状態になります。
●1~2ヵ月位経過すると、鼻づまりの解消など、症状の改善が実感いただけます。
●鼻内の傷が完全に修復されて鼻粘膜が安定するのには2~3ヶ月を要します。
費用(目安)
約 40,000円